夢野ヨーダの伊藤夢葉の台詞3

色変わりのハンカチ

 次の手品もあざやかですよ。ハンカチです。緑と黄色のハンカチです。このハンカチを撫でると、色が変わります。

 あっ、ちょっと待って下さい。

 はい、変わりました。

カメレオンシルク

 この間もこの手品をやっていたら怒られました。最初は何故怒られたのか分らなかったんです。分らなかったので、聞いたんです。そうしましたら、ハンカチの色を変える手品だろって言われたんです。そうですよって答えたら、なんで色を変えるのに2枚繋がったハンカチを使うんだって言うんです。

 そうなんです。考えてみるとそうなんですよ。色を変えるだけなら、2枚繋がったハンカチじゃなくて、1枚のハンカチの色を変えたほうが不思議なんですよね。白だったら白、このハンカチの色を変えた方が不思議なんです。

 あと使うのは手だけ。

 こちらが左手。こちらが右手。

 ハンカチを握った左手の中に詰め込みます。暖めて、反対側から、引っ張り出すと、色が変わって出て来ます。手の中で暖めると暖めた分だけ色が変わります。手の中で暖めて、暖まった分だけ、色が変わります。手の中で暖めて・・・一遍には無理になっています。少しづつ、少しづつです。

 すべてを押し込んで、引っ張り出すと色が完全に変わってしまいます。

 時々、本当に色が変わってしまったのですかと聞く方がいます。が、今、どんなにいい染料を使ってもこんなに素早くは、絶対に変わりません。何故、こんな事が出来るのかと言えば、手品だからです。手品だから出来るんです。仕掛けがあるんです。何処にあるかって・・・ここにあるんです。この手品もやっぱり1枚では出来ない手品なんです。2枚使っているんです。2枚あるから出来るんです。

 白いハンカチはこちらのポケットに。そして、赤いハンカチを最初に左手の中に握り込んでおけばいいんです。でも注意して下さい。この間、赤いハンカチを左手に握り込んでおけば出来ますよと教えましたら、赤いハンカチ、まん中から、入れた方がいるんです。これはいけません。白いハンカチを手の中に入れる時、橋の方から入れるんです端の方から入れるのに色が変わって出てくる時にまん中から出て来てしまいます。これはいけません。われわれ、手品を習う時、一番最初に言われる事が、「ビー ナチュラル」。自然に。なんです。やっている事は不自然なのだから、見た感じは自然にということらしです。端から入れたら端から出てこなくてはならないんです。

 白いハンカチを端から入れるんですから、色が変わって端から出てくるように赤いハンカチも端の方から入れて行くんです。慌てないで下さい。慌てて詰め込みますと、中でもそもそっとして、引っ張り出す時にまとまって出てしまう事があります。ゆっくり、ゆっくり、少しづつ丁寧に詰め込みましょう。詰め込み終わったら、白いハンカチをもって、準備は出来上がり。

 皆様の前に出たら、ハンカチを動かします。こんな風にです。みなさーん、これから白いハンカチの手品を始めますよ−。ここが大事なんですよ。ここが。人間て不思議なもので動いているものに視線が、行くんです。これだけ動かしていると殆どの人が、白いハンカチを見て下さいます。性格の悪い方がなんで左手を握っているのだろうと左手を見るんです。でも、大丈夫、今日みたいな日は、左手を広げても問題はありません。

 後は、この白いハンカチを最初に赤いハンカチを握り込んだ左手に入れて、最初に入れた赤いハンカチを引っ張り出せばいいんです。

 慌てないで下さい。この間、白いハンカチを全部、中に詰め込んでいないのに、赤いハンカチをすべて抜き出しちゃったんです。白いハンカチを手の中にすべて入ってしまうまで待ってから抜き出して下さい。すべてを抜き取ったら、手を広げて、ハンカチを広げて、ポーズを取っておしまい。

 せっかく覚えたんですから、家に帰ったらやってみて下さい。きっと出来ないと思います。

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