夢野ヨーダの伊藤夢葉の台詞5

カード当て

 こうやって、いろいろな手品をやっていますと、アレは出来ないのかって言う方がいます。あれ。カードです。手品師とカードは切っても切れない縁にあります。手品と言えばカード。最後にカードの手品を見ていただいてわたくしの手品のコーナーは終わりにしたいと思います。

 ごく普通のカードです。同じカードは一枚もありません。カードの手品の中で一番有名なものはカード当てという手品です。カードを引いていただいて、そのカードを当てると言う手品です。どなたか、カードを引きたいと言う方?いませんね、では、わたくしが。そういう分けにも行きません。では、そちらのお客様に、引いていただきましょう。1枚引いて下さい。そのカードを覚えて下さい。念の為に、他のお客様にも見せてあげて下さい。この間、最後に「お客様のカードはこれですね。」って言いましたら、忘れてしまったと言う方がおりました。

 覚えましたね。ちょっと伏せておいて下さい。向き直ります。そのカードを返していただきます。何処でも好きな所にお返し下さい。何処でも好きな所でいいです。・・・ここが、好きな所です。とても、素直なお客様です。

 返していただいてわたくしが混ぜていますと、やっぱり気になります。お客様に混ぜていただきましょう。よおく混ぜて下さい。お願いします。はい、有難う御座います。えっ、まだ、混ぜていない?失礼しました。はい、有難う御座います。

 いろいろな、当て方がありますが、今日はちょっと変わった当て方をしましょう。引いていただいた方に引いたカードの事を思っていただきます。それを読み取るという方法で当てましょう。読心術という当て方です。引いたカードの事を思って下さい。

 一遍に当てるのはつまりません。すこしづつ当てて行きましょう。

 まずは、色を当てます。

   色は、黒!・・・か赤!

 色は2色しかありませんから、まぐれと言う事もあります。数字を当てましょう。数字を。

   数字は7!・・・、より大きい!か、小さい。

 こんな当て方は、嫌いですか。では、一遍に当てましょう。なんのカードかすでに分かっているのです。指先一本で当てる事ができるのです。この指をカードにあてて、ゆっくりと1枚のカードを抜き出します。なんと、抜き出したカードが、・・・。

   クラブの5!

 ではない。ですね。5ですから、上から、5枚目です。

   1、2、3、4、5。

   5番目のカードが、・・・、ダイヤの2!

 ではないですね。

 大丈夫です。手品師です。失敗したのかなあと思わせておいて、そこをうまく、切り抜ける方法を知っているのです。失敗したのかなあと、思わせておいて、うまあく切り抜ける方法を・・・。1つだけあるんです。御存じですか。知らない。お教えしましょう。

   謝るんです。

   すみません!

 わたくし、正直言って腕、良くありません。腕は良くありません。腕は良くありませんが、わたくしが持っているこのカードは、いーカードです。とても、いいカードです。どんな風にって、このカードは返事をするんです。先ほどは念をわたくしに飛ばしていただきましたが、今度はこのカードに向かって念を飛ばして下さい。

   はい!

 いえ、このカードに向かってお願いします。

   はい!

 有難う御座います。

 もちろん普通のカードです。同じカードは1枚もありません。お客様にカードを1枚引いていただき、返していただいてよく混ぜていただいたカードを持っていただけです。

 でも、念を飛ばしていただくと返事をするんです。返事をすると言いましても、声はだせません。どうやって返事をするのかと言えば、自分のできる方法で返事をするんです。同じカードは1枚もありませんよ。

 ただ、持っていただけなのに、念を飛ばしていただいた途端に、カードが、1枚ひっくり返ってしまいました。

 さあ、お客様の引いたカードは・・・。

 忘れちゃったんじゃアないでしょうね?

 はい!   (ハートの10!)

 ハートの10!ハートの10ですね。確認をしましょう。皆様、これが最後の手品です。確認をします。当っていましたら、拍手をお願いします。

 では、確認します。

 おー!ハートの10!見事に当りました。どうも、有難うございました。

 見たいですよね。52枚あるカードの中、確かに、お客様が、選びましたカードが1枚だけ、ひっくり返っていたというところで、わたくしの手品のコーナーは終わりです。

 もっと気軽に考えていました。驚きました。よくしゃべっています。確かに、しゃべっているとは思っていました。それを、書き起こして、ああ、こいつは本当におしゃべりなんだなあと思いました。これで、時間にして、20分程の舞台です。20分ほとんどしゃべりっぱなっしなんだから、こんなになるのかもしれない。疲れました。その反面、面白くもありました。見るだけの舞台から、ちょっと舞台の上から、見ているような、参加をしているぞ、という感じがしました。せっかくなので、彼の舞台のいろいろな台詞を書き起こしてみようかと思います。また、舞台を見に行かなければならなくなりました。手品師の一番嫌いな、メモを取る客になりそうな気がします。でも、以前、手品師ばかりが出る舞台で、「わたくしの時だけ、メモを取る人がいない。」と言ってましたから、返って喜ぶかもしれない。これからもお楽しみに。       (ヨーダ)

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