夢野ヨーダの伊藤夢葉の台詞1

 最近は自分の名前から、先生伊藤一葉氏の話、そして鞭という流れが殆どではないかなあ。 何はともあれ、ある寄席での演技のすべてを、書き出してみましょう。

自己紹介

(夢葉、舞台に登場)

 皆さん、こんにちは。これからしばらくの間は手品でお楽しみいただきたいと思います。私、手品師の伊藤夢葉で御座います。伊藤夢葉で御座います。むようで御座います。む・よ・う・・・。むようと言いましても用がない分けではありません。夢という字に葉っぱで夢葉なんですよ。

 お気付きの方もおられるかもしれません。伊藤一葉という手品師がおりました。その伊藤一葉の一番弟子なんです。一番弟子なんて言いますと、本当かなんて言う方がおりますが、あの方には私しか弟子がいなかったんですね。必然的に一番になる分けですね。

 私の先生、しゃべりながらやっていました。私もしゃべりながらやります。大きな道具は使いません。象が出たり、美女の胴を切ったり、そんな大変な事はしていません。どんな道具を使うのかと言えば、小さな道具です・・・。こちらの鞄の中に、入るくらいの物しかつ・・・(鞄の蓋を開ける。この時に蓋の上に置いてあったものが落ちる。)。何か落ちました。(拾う。)こんなものが落ちました。これ、なんだか知ってますか。

 (お客様『鞭。』)

 そうです鞭です。よく御存じですね。もしかして、御自宅でお使いですか。

 そんな事ないですよね。

 わたくし鞭好きなんです。なんでこんなものを持っているのかと言えば、小淵沢へ遊びに行ったんです。小淵沢って牧場が多いんです。多いんですが、殆どがウエスタン風なんです。テンガロンハットかぶって、中にはガンベルトを付けている人も居ました。そして、鞭を持っていたんですね。その鞭をピッシ!ピッシッ!てカッコ良かったんですね。それで、買ってしまったんです。ところが、家に帰って、やってみたんですが、いい音がしないんです。可笑しいなあと思って電話しました。「もしもし、鞭を買ったんですがいい音がしません。」て。そうしましたら、鞭って音を立てる為には打ちつけるんじゃアないんですね。音をたてる為には振るんです。振ると音がするんです。振って音がすると言っても、買ってきて振ってすぐに音がするというものでもありません。練習しました。練習すると言っても特別変わった振り方をする分けではありません。普通にすれがいいんです。こんな風に。今日は、いい音するかなあ。

 ピシィッ!

 音がするんです。何処にも当ってないのに音がするんです。こんな風に鞭を振っていると、その鞭でどんな手品をするんですかと聞く方がいます。でも、これは、趣味なんですよ。

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